忘れな草の令嬢と、次期侯爵の甘い罠
フェント家の舞踏会に出席するとグロリアに告げると、「ドレスはあったかしら」と眉をくもらせた。

「お母さまの形見のサファイアブルーの繻子のドレスを着ようと思うの。
今流行りのデザインではないけど、サイズはぴったりだったわ」

「あなたの瞳の色に映えることでしょうね。銀行に預けているサファイアのチョーカーがあるから、それを付けておいきなさい」

「ありがとう、お祖母さま」
敵情視察をしてくるわ、と軽口っぽく付け加える。

後ろ指を指されるようなことは何もないのだ。
リベイラ伯爵家の紋章入りの便箋で、出席の返事をしたためよう。
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