あなたを抱きしめる、唯一の

明日の行方


 笹山さんに告白された翌日、私は地に足がついていないような心地で、ミスを連発した──ようなことはなく、普通に出勤して普通に業務を終えて裏口を出た。


「棚島さん」

「……笹、栗さん」


 なんとか言い間違えずに名前を呼べば、彼はゆっくりと私に近づいてきた。


「行こうか」

「え、あの、どこに?」


 私の質問に、その人は呆れたように笑った。


「今日も勉強、するんでしょ?」

「……そうでしたね」


 確かに「英語の勉強はこれ切りにする」なんて一言も言ってない。でも平然と誘ってしまうそのメンタルはある意味羨ましい。

 多分だけど、この人は断られるなんて一切思っていない。突然の事態に戸惑う私を、強引に押してしまえば受け入れてくれると考えている。

 今までの反応を見ればそうかもしれない。事実、私は彼が好きだ。それは告白を受けてからも変わっていない。

 でも、だめだ。
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