あなたを抱きしめる、唯一の
「ここじゃ何なので、車で少し話しませんか?」
そう持ちかけると、彼は引き締まった表情で頷いた。告白の返事をもらえると信じてる……それが私の心をチクチクと刺した。
「今日は路上のパーキングですか?」
「いや、今日は駐車場」
少しだけ安堵した。誰かに目撃される可能性は低い。できれば、話が終わるまで誰も通りかかったりしませんようにと願いながら、無機質な駐車場内を歩いた。
促されて助手席に座る。今まで考えたこともなかったけど、この車って高級車だったりするのかな。
現実逃避をしかける思考を戻し、私は隣りを見ないようにしてから話し始める。
「私、あれから母に連絡したんです」
張り詰めた空気が漂う。でもちゃんと話さなくちゃ。
「帰ってから、自分でも調べたんです。そしたら、社長も同じ地元だって偶然知って……」
「じゃあ、父とのことも……」
「はい、教えてもらいました」