夜の帝王の一途な愛
「そうじゃなくて、俺の身の回りの世話を頼みたい、これから店がリニューアルオープンするに伴って忙しくなるし、俺の飯作ってほしいし、そしたらいつでもあゆみがうちにいるって事だろう?」
「それはそうですけど・・・」
彼の側に居られる、彼が雇い主なら私は指輪を外さなくてもいいし、彼に私との以前の記憶がなくても問題ない。
「本当に私を雇って貰えますか?」
「ああ、俺と契約するか?」
「はい、でもすぐってわけにはいかないので少し待ってもらえますか?」
「わかった」
彼と以前のように一緒に居られる、自然と顔が綻び喜びを隠せない。
でも加々美社長になんて言うかが問題である。
プロポーズを断った上に店を辞めるなんて加々美社長の顔を想像しただけで背筋がぞっとする。
「加々美社長になんて言えばいいですかね」
「雇い主を変えたいから店を辞めるって単刀直入に言えば?」
「そんな事言えません」
「俺と結婚することになったって言えば?」
「えっ?嘘をつくって事ですか?」
< 116 / 207 >

この作品をシェア

pagetop