夜の帝王の一途な愛
加々美社長に腕を押さえられて動けなかった。
車のボンネットに倒されて、加々美社長の唇が私の耳元へ押しつけられた。
その時加々美社長のスマホが鳴った。
一瞬私を押さえつけていた手の力が緩んだ加々美社長の胸を押して怯んだ隙に私は逃げ出した。
どうしよう、好きでもない人とキスだなんて、涙が溢れて止まらなかった。
彼を放っておけない気持ちと、彼に愛される資格が無くなったから彼に会えない気持ちが交錯して何も考えられなかった。
何処をどう歩いたか覚えていない、身体に力が入らない、公園のベンチで横になった。

目が覚めると見た事がない部屋の模様、えっ、ここは何処?私ベッドに寝ている?ガバッと起き上がり自分の洋服を確認した、良かった、ちゃんと着ている。
まさか加々美社長のマンション?
そこへ部屋のドアが開いて一人の男性が入って来た。
「やっと気がついたね、ずっと起きなかったらどうしようって思っちゃったよ」
「あのう、どちらさまですか?」
「イヤだな、覚えてないの?東藤?」
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