夜の帝王の一途な愛
あゆみは戸惑いを隠せない様子だった。
「ホストを辞める?」
「ああ、昼間の仕事をしようかと思っている」
「凌に取ってホストは天職だって言っていたじゃないですか、それに夢だったんですよね、自分の店を持つ事」
「そうだよ、でも二十三の時、手術をしないと余命ニ年って医者に言われて、このニ年で絶対に店を軌道に乗せるんだって、ガムシャラに頑張って来た、二十歳の時の恋以来ときめく女性が現れず、丁度いいって思ってた、余命ニ年で恋してる場合じゃないって思ってたからな」
あゆみは俺の話を黙って聞いていた。
「ニ年が経った頃、体調の変化も無く、店も起動に乗り始めて、いつでもこの世を去る事が出来るって覚悟していた矢先だった、おれの目の前にあゆみが現れた」
あゆみは俺との出会いを思い出していた。
「あの時俺は、あゆみの気持ちも、自分の未来がない現状も全く考えていなかった、ただあゆみと一緒にいたいとそれしか考えられなかったんだ」
俺は話を続けた。
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