夜の帝王の一途な愛
「そんな事ないと思いますよ、男は惚れた女のために無理する生き物ですから
「でも……」
その頃俺は店舗探しに必死だった。
「麻生社長、新たにホストクラブオープンですか」
知り合いの不動産屋に相談するとそんな事ばかり言われる。
「いや、花屋の店舗を探してるんだ」
「はい?花屋ですか?」
その度に驚かれる、それはそうだろう、俺をはホスト業界では知らない奴はいないからな。
そのうちに俺が新たなホストクラブをオープンすると言う噂が流れ始めた。
夕方、俺のマンションのインターホンが鳴った。
「麻生さん、どう言う事ですか?」
「なんだよ、藪から棒に」
「新しい店出すって本当ですか」
「はあ?なんだそれ」
ヒカルには何も話していなかったため、ヒカルのところに問い合わせが殺到したみたいだ。
「麻生さんが新たなホストクラブをオープンさせる、そのため店舗を探してるって」
「誤解だよ、俺は夜の世界から抜けたんだ」

「この間、不動産屋が訪ねてきて、どの位の店舗をお望みでしょうかって」
< 153 / 207 >

この作品をシェア

pagetop