夜の帝王の一途な愛
「花屋をオープンしたいんだ」
蘭は全てを見透かした様な表情を見せた。
「凌、惚れた女に店を買ってあげるのね」
「違うよ」
蘭は疑いの眼差しで俺を睨んだ。
「まっいいわ、それでその女は経験あるの?」
「ああ、加々美フラワーアレンジショップって知ってる?」
「知ってるも何も有名な会社よ、えっ?そこで働いていた人?」
「ああ、訳あって辞めたんだけど、相当優秀だったって、社長の加々美が言ってた」
「凌、加々美社長と知り合いなの?」
「うん」
俺が頷くと、蘭はびっくりした顔を俺に向けた。
「その加々美社長の元で働いていた女性が店舗を探しているの?」
「ああ」
「ねえ、私のところで働いて欲しいんだけど」
「ダメだよ」
「どうして?また花に携わる仕事を探しているんでしょ?」
俺は答えに詰まった。
別に仕事を探している訳じゃないし、あゆみには内緒だからな。

蘭はいつも俺を応援してくれる頼もしい存在だ。
病気で仕事を休んだ時も無理しないでねと心配してくれた。
あゆみと結婚したことも蘭には報告していた。
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