夜の帝王の一途な愛
俺がホストだったことはあゆみは知っていたが、俺の接客を目の当たりにしてヤキモチを妬いたのだ。
あゆみは気分が悪くなったと先に帰った。
友梨ちゃんから事の事情を聞いてあゆみが心配だったが、閉店まで仕事をして、あゆみが待つマンションへ急いだ。
あゆみは夕食の支度をして待っていてくれた。
俺は急いでドアを開け「あゆみ、あゆみ」と姿を探した。

あゆみは奥の部屋から姿を現した。
「凌、お疲れ様でした、今日はすいま……」
あゆみの言葉を遮り、俺はあゆみを抱き寄せた。
「大丈夫か、初日から頑張りすぎて疲れたのかな」
「大丈夫です」
あゆみは俺から離れて、俺の顔をじっと見つめた。
「食事食べましょう」
「そうだな」
食事を終えて、あゆみは疲れたから寝室を別にしてほしいと言ってきた。
「具合が悪いのか?」
「大丈夫です、ちょっと疲れただけですから、おやすみなさい」
そう言ってドアの向こうに消えた。
俺はあゆみがヤキモチ妬いていたなど知る術はなかった。
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