夜の帝王の一途な愛
二人は見つめあって、お互いに相手を意識している様子が伺えた。

「ヒカル、友梨ちゃんはお嬢様なんだから手を出すなよ」

「そんな事しませんよ」

積極的な友梨ちゃんはヒカルに声をかけた。

「ホストさんですか、めっちゃカッコいいですね、私、友梨です」

「ああ、俺はヒカルって言います、今度是非店に来てください」

「はい」

「友梨ちゃん、ヒカルに食べられちゃうから気をつけて」

「麻生さん、俺、そんな事しませんよ」

「本当か」
「それより、今日もあゆみさん、お休みですか」

「今日もって、どう言う事だ」

ヒカルは深呼吸をして語り始めた。

「昨日、あゆみさんに会ったんです、そしたら麻生さんの頑張りを悲しそうに話していました、麻生さんの接客を目の当たりにしてヤキモチ妬いたんですよ」

「ヤキモチ?」

「気づいていないんですか、まるでホストですよ」

「確かに、あゆみさん顔を背けてました」

そう言ってヒカルの意見に賛同したのは友梨ちゃんだった。

俺は完全に狼狽えた。

< 170 / 207 >

この作品をシェア

pagetop