夜の帝王の一途な愛
あれから半年の歳月が流れた。

俺はホストに戻り、あゆみは花屋で働くことになった。

あゆみの希望で、俺とあゆみは離婚した。

俺の記憶の中にあゆみはいない。

友梨ちゃんとヒカルは付き合い始めた。

店にヒカルがやってくると、あゆみは凌のことが気になって様子を聞いた。

「凌はどうですか」

「記憶は変わりないそうです、あっ、そうそう、もう麻生さん、指名No.1になったんですよ」

「そうですか」

あゆみは凌が元気で過ごしていることに安堵した。

「気になるなら会いに行ったらどうですか」

あゆみに助言したのは友梨ちゃんだった。

「無理だよ、だって、凌の中に私の記憶ないんだよ」

「今までは麻生さんがあゆみさんを何度も好きになってくれましたが、
今回は半年、連絡もなければ、様子を見にきてくれることもないじゃないですか、
本当に本当に終わっちゃいますよ」

わかっていた、奇跡はもう起きないと……

あゆみは勇気を出して、凌のマンションへ向かった。

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