夜の帝王の一途な愛
ヒカルから今日は休みと聞いていた。

インターホンを鳴らすと、応答がない。

寝てるのかな。

もう一度、鳴らしてみると凌の声で応答があった。

「はい」

「あのう、あゆみです」
「何」

「ちょっとそこまで来たので、元気かなって思って」

「ああ、元気だよ」

「そうですか」

何を話せばいいか、会話が続かない。

「今日は休みだから、寝てたいんだけど、もういいかな」

「あ、はい」

インターホンは切れた。

あゆみはこんなにも男性をデートに誘うことが難しいなんて、思いもしなかった。

もう、凌とは終わっちゃうんだな。

そこに高級車が横付けした。
「あゆみさん、久しぶり、元気だった?」

あゆみに声をかけたのは加々美社長だった。

加々美社長はあゆみを諦めていなかった。

「食事に誘いたいんだ、車に乗って?」

「でも、私……」

あゆみは躊躇していた。

加々美社長はあゆみをエスコートして車に乗せた。

「どうだい、花屋の店舗は順調かな」

「はい」
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