夜の帝王の一途な愛
「麻生さん、指名入りました、よろしくお願いします」

「よし」

俺は店の片隅の席にいくと、あゆみが客だった。

どう言うつもりだよ、俺の気もしらねえで。

凌はわざとあゆみに素っ気ない態度をとっていた。

俺はお前を幸せには出来ない。

何度も記憶がなくなり、その度に辛い思いをさせた。

この先、どれくらい生きられるかわからない。

そんな男と一緒にいて、あゆみにとって幸せなのか。

実は凌は一ヶ月前に記憶が戻っていた。

担当医師のもとへ行って、話を聞いていた。

あゆみの苦しみは計り知れない。

このまま、記憶がないふりをして、あゆみから離れる決意をしていたのに……

俺はあゆみのテーブルに近づき、目線をあゆみより下になるようにしゃがみ込んだ。

手をとって、甲に口づけをした。

「麻生凌です、ご指名頂きありがとうございます、今宵は楽しんで頂けるように精一杯努めさせて頂きます」

あゆみは頬を真っ赤に染めて俯いた。

あゆみのうぶな反応に、凌はドキンと心臓が高鳴った。

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