夜の帝王の一途な愛
凌はキッチンでコーヒーを入れていた。

あゆみの姿を見ると、声をかけてきた。
「随分とお寝坊さんだな、薬、飲んだか」

あゆみは半年前に戻ったような錯覚に陥り、凌の背中に抱きついた。

「どうしたんだ、寝ぼけてるのか」

凌はあゆみの手を握り、あゆみと向き合った。

身体を離そうとした瞬間、あゆみは凌の首に手を回し、唇にキスをした。

凌は突然のことに戸惑った。

あゆみは舌を入れて、凌の口の中を掻き回した。

凌もあゆみの唇を啄んだ。

息が荒くなり、キッチンのテーブルにあゆみを押し倒した。

「いい度胸してるじゃねえか」

「私、凌が好き」
凌はあゆみの言葉に驚いた。

「私の記憶がなくてもいい、私を好きじゃなくてもいい、凌の側にいたいの」

あゆみは涙ながらに訴えた。

「わかったの、半年も離れて、寂しくて、悲しくて……」

「俺は突然、記憶がなくなる、その時の不安や虚しさがわかるか、
俺は誰とも関わらず生きていくと決めたんだ」

あゆみはじっと凌を見つめた。

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