夜の帝王の一途な愛
「なんか、私、子供みたいだね」

「さあ、どうぞ」

ヒカルは個室に案内してくれた。

「麻生さんを指名でよろしいでしょうか」
「あ、はい」

「それでは少々お待ちください」

ヒカルは部屋を後にした。

しばらくすると、凌が部屋をノックした。

「はい」

凌と顔を合わせるのは三年振りだった。

凌が部屋に入ってきた。

「ご指名ありがとうございます、当店指名No.1の麻生凌です、よろしくお願いします」

「こ、こ、こちらこそ、よろしくお願いします」

「隣、よろしいですか」

凌はあゆみの隣に腰を下ろした。
「飲み物は何をお作りしましょうか」

あゆみは凌をじっと見つめて固まっていた。

まるで夢見る少女のように、心臓はドキドキ高鳴っていた。

「名前を聞いてもいいかな」

「あ、はい、えっと、あゆみです」

凌はあゆみの手をとって、甲にキスを落とした。

「緊張してるのかな、ホストクラブは初めて?」

「いえ、二回目です」

「前回はどこのホストクラブへ行ったの」

「ここです」
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