夜の帝王の一途な愛
彼は、欠食児童のように、おかゆを口にかき込んだ。
お腹も満たされたのか、いきなり立ち上がり、部屋の中を見回した。
私は彼をじっと見つめていた、なんてかっこいいのだろう。
視線を感じたのか、私の方へ近づいてきた。
私は部屋の隅に追い立てられ、壁を背に身動き出来ない状態になった。
心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
彼から視線を反らし、どうしていいか分からない様子の私を優しく抱き寄せた。
心臓が飛び出してしまうのではないかと思う位に、ドキドキが止まらない。
彼は私の耳元で囁いた。
「おかゆ、すごく美味かった、サンキュー」
そして彼はその場を立ち去った。
何が起きたのか分からない状況のまま、暫く動けずにいた。
身体の熱りを感じ、別世界に誘われた錯覚に陥った。
神様からのご褒美?
眼を閉じると、彼の温もりが蘇る。
「もう一度会いたい」
初めての気持ちに戸惑いを隠せない、まるで少女のように、胸がときめいた。
この時既に、私のハートは彼に奪われていた。

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