夜の帝王の一途な愛
初めての産婦人科、しかも回りを見渡すと皆若い。
「麻生あゆみさん」
「あゆみ、呼んでいる」
えっ?あっそうだ、私麻生あゆみだった。
「はい」
「麻生あゆみさんですね、こちらへどうぞ
ご家族の方はちょっとお待ちください」
私だけ診察室へ呼ばれ、検査を受けた。
「おめでたですよ、二ヶ月目に入ったところです、一緒にいらしているご家族の方はご主人さまですか」
「はい、そうです」
たぶん先生は若いなあと思ったよね。
「待合室にいるご主人さま呼んで」
先生は看護師に指示を出した。
彼が診察室へ入ってきた。
「ご主人さまですか?」
「はい、そうです」
彼は嬉しそうだった。
そして、すぐに先生に質問した。
「あゆみ、妊娠していましたか」
「はい、おめでとうございます、二ヶ月目に入ったところです」
「まじっすか、やったあ」
彼は急に立ち上がり、喜びを全身で表すかのようだった。
その様子に先生は笑いを堪えられず、そして満面の笑みで私を見つめた。
「これはあくまで確認ですが、出産されますか?」
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