夜の帝王の一途な愛
「あゆみ、大丈夫?帰ろうか」
「すみません、ご迷惑かけてしまって」
私は彼を真っすぐ見られなかった。
彼を大好きな気持ちと、彼女に申し訳ない気持ちが入り混じって動揺していた。
「お二人でよく話し合ってください」
「お世話になりました」
彼は先生にお礼を言って、マンションへ向かった。
部屋に入ると彼は、優しく私を抱きしめてくれた。
その時指輪をしていない私に気づいた。
「あゆみ、指輪どうしたの?無くした?」
「あっ、あります」
そしてバッグから指輪を出して彼に渡し。
「この指輪をするのは、私じゃなかったみたいです」
「えっ、どういう事?」
彼は全く分からない様子で私を見つめた。
「あのう、麻生さんとの結婚指輪は彼女がするべきと思います」
「彼女?」
「麻生さんが大好きな女性です」
「俺が大好きな女性はあゆみだけど・・」
「最近もっと大好きって気づいた人です」
彼は不思議そうに私を見つめた。
「あゆみが言っている事分からないよ、あゆみより大好きな女性は居ないよ」
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