夜の帝王の一途な愛
第四章 君は誰?
彼は指輪を私の左手の薬指にしてくれた。
「もう、外しちゃ駄目だよ」
彼はそう言って、私を優しく抱きしめてくれた。
彼の唇と私の唇が重なり、永く熱いキスをした。
もう、彼無しの人生は考えられなかった。
「麻生さんが行くとき、必ず私を一緒に連れて行ってください」
私は彼にお願いした。
「行くって何処へ?」
彼は私の言っている事が理解出来ない様子であった。
「黄泉の国」
彼はビックリした表情で私を見つめた。
「私、一人じゃ生きていけないから」
納得していなかった彼の言葉に、急に不安になり、気持ちを打ち明けた。
彼の人生に限りがある事を、この時感じたのである。

   第四章  君は誰?

いつものように彼を起こしに行くと、苦しそうにしている彼がいた。
「麻生さん、大丈夫ですか?」
彼の答えは無く、救急車を呼び、入院する事になった。
彼の意識は戻らず、ずっと昏睡状態だった
私は先生から呼ばれて、そこで初めて彼の病状を告げられた。
「奥様ですね、麻生さんから聞いています
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