夜の帝王の一途な愛
彼は、何もなかったかのように去って行くと思われた。
そうだよね、ドラマのような展開があるはずが無いよね。
と、次の瞬間、予想を遥かに超えた出来事が起こった。
彼は私を引き寄せて、抱きしめながら耳元で囁いた。
「俺と一緒に暮らさないか?」
私は固まったまま動く事が出来ずにいた、
初めて言われた言葉に、暫く彼の腕の中で幸せの余韻に浸っていた。
うそ、これは夢?
「これから俺のマンションに行こう」
彼はそう言って、引っ越し業者に電話を掛けた。
私は、急な展開に着いて行けず、ただただ茫然と立ち尽くしていた。
間もなく業者がやって来て荷造りを始めた
「後は業者に任せて、飯食いに行こうぜ」
彼は私の手を取り、車のドアを開けエスコートしてくれた。
私は夢を見ているの?頬を抓ると痛かった夢じゃない。
隣で運転している彼を見つめて、冷静な判断が出来ずにいる私に、彼は言葉を掛けた。
「何が好き?」
彼の言葉は耳に届いていない状況で、彼をずっと見つめていた。
運転している彼の横顔は、輝いて見えた、
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