夜の帝王の一途な愛
暫く入院することになり、病院から連絡を受けた彼もすぐ駆けつけてくれた。
これで私の役目はすべて終わったと思った。
彼の記憶から消え、彼にとって必要が無くなり、彼の子供を流産してしまった。
彼の側にいる理由が無くなったのである。
「あゆみ、大丈夫?」
「ごめんなさい、子供いなくなっちゃいました」
「謝る事じゃないから、あゆみが無事でよかった」
彼は優しく微笑みかけてくれた。
「もう、私が麻生さんの側にいる理由が無くなったので、離婚してください、そして大好きな女性と結婚してください」
私は自分の気持ちをすべて彼に話した。
彼は思いもよらぬ事を口にした。
「あゆみは、今の俺の事好き?」
「大好きです」
「あゆみの御蔭で、術後の後遺症も克服出来て、仕事復帰も出来て、感謝している、今度は俺があゆみの側にいて、あゆみを支える」
「そんな責任、麻生さんにはないですよ」
「自分の妻を支えるのは、当たり前だろう」
「愛のない結婚生活を続けていく事は、麻生さんにとって無意味だと思います」
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