夜の帝王の一途な愛
先生や看護師さんに挨拶して、マンションへ向かった。
「あのう、話あるのですけど」
彼にこれから妊娠の可能性は難しいと伝えないと・・・
「何?」
「今回の流産で、今後妊娠の可能性は難しいとの事です」
「分かった」
また、何が分かったのかなあ。
「あのう、気を悪くしないで聞いてほしいのですけど」
そこまで言いかけて彼は私の言葉を遮った
「あゆみと別れないよ」
私は言葉を失った。
「子供欲しいわけじゃないし、俺はあゆみと一緒にいる事が出来ればそれでいいから」
「でも、麻生さん子供欲しいって」
「俺、そんな事言っていた?」
「はい」
「でも、今の俺は子供に対して強い執着はない、前の事話されても俺は分からないよ、今の俺が覚えていない事言われても、それはあゆみと手術前の俺との思い出だろう」
「ごめんなさい」
「ごめん、言い過ぎた」
私はなんて言っていいか分からなかった。
「俺、自分に嫉妬して情けないよ」
確かに私は彼が大好きである。
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