夜の帝王の一途な愛
当たり前だよね、四十代より二十代の若い子がいいに決まっている。
はじめからわかっていた事なのに、浮かれて調子にのってバカみたい、涙が止まらなかった。
彼が私と別れた理由は、若い彼女が出来たわけではない、仕事に支障をきたすわけではない、それは一年前にさかのぼる。

ある日彼は、自分の体調に違和感があった
手術後頭痛や手の震えなど落ち着いて来ていたし記憶の曖昧さも少なくなって来たと思われていたのだが・・・
目が覚めた時彼の頭の中が一瞬真っ白になった。
私の顔を見て、彼は変な表情を見せた。
「麻生さん、どうかしましたか」
「あっ、いやどうもしない」
この時一瞬私を認識出来なかったのである
その後時々この症状は現れた。
彼は自分の中で何が起きているのか、この先私を認識出来ないままの状態になったらと、不安を拭いきれなかった。
そしてこの不安は彼の中で恐怖へと変わっていった。
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