夜の帝王の一途な愛
二十万の給料?そんな事いわれたかな、どこでそんな話をしていたのかな?
もう、駄目だ、冷静になってちゃんと話を聞かないと、私は大きく深呼吸をして話を切り出した。
「すみません、私全然話を聞いていなかったので、ちゃんと説明して頂けますか」
彼は意外そうな表情で、私を見つめた。
「参ったな、何処から聞いて無かった?」
聞いて無かったって言うか、理解出来なかったって言うか、なんて言えばいいの?
彼はどう答えればいいか困っている私に優しく微笑んだ。
「腹減ったな、まだ飯食って無かったな、飯食いに行こうぜ」
その場の空気が一気に変わり、なんか不思議な感覚に陥った。
彼は食事から戻ってから、初めから話をしてくれた。
「契約結婚って事ですか?」
やっと理解出来た、って、えっ?無理でしょう?私と彼と結婚?いくら偽装とはいえ、まずいよ。
「あの、彼女になんて言うのですか?」
私が彼女の立場だったらと思うと、居たたまれない気持ちになった。
「彼女は居ないから大丈夫だよ」
彼は私に微笑みながら答えた。
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