夜の帝王の一途な愛
あっ、私は咄嗟に指輪を隠した、でももう遅い、今更隠しても気づかれた後ではどう説明したらいいか、頭の中が真っ白になり対応出来なかった。
俺と別れて一年経つのにまだ指輪しているのって言われているような気がした。
いい加減外して欲しいって意味かな?
でも彼の口から予想を遥かに超えた言葉を聞かされた。
「ご主人羨ましいな、あゆみさんに愛されてでも、もしそうじゃないなら俺で良ければ相談に乗るよ」
「初対面なのに優しくされると期待しちゃいますよ」
ちょっと彼を困らせる事を言ってしまった彼がどういうつもりでこんな事を言ったのか理解出来なかったから・・・
でも彼は輪をかけて信じられない事を言った。
「いいよ、ご主人から奪いたいから」
心臓の鼓動がバクバク音を立てて、身体が熱くなるのを感じた。
「やだ、麻生さんホストだからお得意のセリフですか?」
「俺は店の常連客以外は本気じゃないと言わないよ」
えっ、どういう事?もうわからない、なんか怒りにも似た感情がこみ上げて来た。
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