私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~
現実はいつも残酷だ
「へ? えっと……今、なんて?」
「だから、さ。俺と付き合ってよ。水無瀬」
聞き間違いじゃなかったぁぁああっ!?
連日の残業で耳がおかしくなったかと思ったけれど、再び彼の口から出た言葉に、私はそれが現実だということを理解した。
村上優悟《むらかみゆうご》。
私の同期で、人懐こくてカッコ良くて、この部署の人気者だ。
そして私の思い人でもある。
入社して3年間。
ずっと私は彼に恋している。
そんな意中の相手からの突然の告白に、舞い上がってしまったのは言うまでもない。
”こんな人気者が、暗くて部署で浮いている、仕事しか取り柄のない私に告白なんてするわけない”
そんな考えに至ることもなく、私の答えは迷うことなく──。
「う、うんっ、よろしく、おねがいしますっ!!」
──即答。
水無瀬海月《みなせみつき》、27歳にして初彼ができました。
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