私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~

「優悟君、お弁当──」
「あー、ごめん、今日は外回りで食べることになってて──」

「優悟君、今度のお休み──」
「ごめん海月。母親が倒れてさ、しばらく休みの日は実家に行くことに──」

「優悟君、一緒に帰──」
「ごめん、別の奴と吞んで帰る約束してるんだ」

 撃・沈……!!
 付き合って最初の一ヶ月は、本当に夢みたいだった。

 毎日作って来たお弁当も一緒に食べてくれたし。
 お休みの日はデートもした。
 私が残業なしで帰れる日は一緒に帰ってくれたし、本当に、幸せだった。

 初めての彼氏。
 優しくて、かっこよくて、楽しくて。
 最高の彼氏だ。

 それが最近は一緒にいられる時間が極端に減った。
 いや、減った、というよりも、皆無だ。
 LIMEだって、最近は返信がほぼないか、「了解」「お疲れ」みたいな一言だけ。

 忙しいのかな?
 お母さんが倒れたって言ってたし……。
 私に何かできることがあればいいんだけど……。

 
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