私の心の薬箱~痛む胸を治してくれたのは、鬼畜上司のわかりづらい溺愛でした~
──とはいえ……あのハーレム状態、何とかならないものか……。
自分が雪兎さんの彼女としてまだまだ自信が無いのが悔しい。
「はぁ……」
私が小さくため息をついたその時──。
「海月」
突然声をかけてきた人物に視線を移すと、私は眉を顰めた。
「優悟君……。何の用?」
「冷たいな。付き合ってた仲じゃんか」
「言ったでしょ? 罰ゲームでの交際なんてノーカンだって」
へらりと笑った優悟君に盛大なため息をつきたくなるも、それを飲み込むと私はただ淡々と言葉を返した。
「お前、本当に変わったよな。メガネ外すとこんな可愛いとか、漫画みたいだし。性格も何か明るくなったし。……なぁ、やっぱり俺の彼女に──」
「まだ懲りてなかったか? 村上」
優悟君の言葉を遮って、冷えた声が私たちの間に響いた。