【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
スターリング子爵家のカントリーハウスは、王都から南へ馬車で二時間ほどのところにある。
初めは多くの馬車が行き交う賑やかな街道を走っていたが、道程を半分も過ぎると田畑が広がるのどかな景色が窓の向こうに広がっていた。
緑豊かな林道に差し掛かれば、スターリング子爵領はもうすぐだ。
リーゼは小鳥の囀りを聞きながら、どこまでも続く果てしない緑をぼんやりと眺めていた。
(何も言わずに出てきてしまったけれど、大丈夫だったかしら……)
ランドルフには伝えておくとマーティンは言ってくれたけれど、せめて手紙くらいは書いておくべきだったのかもしれない。
出かける前もそう思ったけれど、結局何を書けばいいのか分からず、そのまま出てきてしまった。
(帰ったら、ちゃんと話をしなきゃ……)
避けていたのはランドルフを嫌っていたからじゃないと、きちんと彼の誤解を解かなければ。
だがそうすると自ずとリーゼの心も曝け出すことになる。
リーゼが好きだと告げたら、ランドルフはどんな反応をするだろう。驚くだろうか。結局リーゼも、彼が嫌悪を抱く女性と同類だったと知って憤慨するかもしれない。
「どっちみち、もう終わりよね……」
リーゼが自嘲気味に呟いた、その時。
初めは多くの馬車が行き交う賑やかな街道を走っていたが、道程を半分も過ぎると田畑が広がるのどかな景色が窓の向こうに広がっていた。
緑豊かな林道に差し掛かれば、スターリング子爵領はもうすぐだ。
リーゼは小鳥の囀りを聞きながら、どこまでも続く果てしない緑をぼんやりと眺めていた。
(何も言わずに出てきてしまったけれど、大丈夫だったかしら……)
ランドルフには伝えておくとマーティンは言ってくれたけれど、せめて手紙くらいは書いておくべきだったのかもしれない。
出かける前もそう思ったけれど、結局何を書けばいいのか分からず、そのまま出てきてしまった。
(帰ったら、ちゃんと話をしなきゃ……)
避けていたのはランドルフを嫌っていたからじゃないと、きちんと彼の誤解を解かなければ。
だがそうすると自ずとリーゼの心も曝け出すことになる。
リーゼが好きだと告げたら、ランドルフはどんな反応をするだろう。驚くだろうか。結局リーゼも、彼が嫌悪を抱く女性と同類だったと知って憤慨するかもしれない。
「どっちみち、もう終わりよね……」
リーゼが自嘲気味に呟いた、その時。