【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
(どうでもいいの……?)
え?と首を傾げながらも首肯する。頭はぶつけたし、ドレスは破られたけれど、それ以外は何もないので。
するとランドルフが目元を和らげた。リーゼが無事でよかったと、そう告げる微笑みは甘やかで、この緊迫した状況を忘れそうになるほど。
リーゼはしばし見惚れていたが、ランドルフの足元でモゾモゾと動く存在を認めると、再び体を強張らせた。
「ハッ!隙だらけだぞ!」
男はランドルフの足の拘束から逃れようと足掻いていた、のだが……
「うるさいぞ」
まるで羽虫が騒いでいるかのような物言いでランドルフは顔をしかめると、男の腹に強烈な蹴りを食らわせた。
「グハァッ!」
男は白目を剥き、グタリと動かなくなった。己を恐怖に陥れていた男がこうも呆気なく伸しているのは、やはり衝撃だ。
リーゼが唖然としているその間にも、ランドルフはどこからともなく取り出した縄で男をがんじがらめにしている。男は完全に気を失っているようで、呻き声すらあげていない。
ランドルフは立ち上がり、芋虫状態と化した男をぞんざいに蹴って転がすと、足早にリーゼの元へと戻ってきてくれた。
「リーゼ。本当に、無事でよかった。怖かっただろう……」
リーゼの顔を覗き込み、気遣わしげに訊ねるランドルフの声は優しい。繊細な手つきで、労るようにリーゼの頬を撫でてくれる。それだけでリーゼの涙腺は緩み、視界が滲んだ。
「助けに来てくれて……ありがとう、ございます……」
震える声でそう告げると、ランドルフはなぜか眉を曇らせた。
「当然だ……君は俺の、大切な妻だからな……」
刹那、ふわりと体が持ち上がり、横向きに抱き上げられた。リーゼが落ちないように、ランドルフはギュッと腕に力を込めてくれている。
それがどうしようもなく、嬉しくて。リーゼは彼の胸に顔を埋めて、また涙を流した。
え?と首を傾げながらも首肯する。頭はぶつけたし、ドレスは破られたけれど、それ以外は何もないので。
するとランドルフが目元を和らげた。リーゼが無事でよかったと、そう告げる微笑みは甘やかで、この緊迫した状況を忘れそうになるほど。
リーゼはしばし見惚れていたが、ランドルフの足元でモゾモゾと動く存在を認めると、再び体を強張らせた。
「ハッ!隙だらけだぞ!」
男はランドルフの足の拘束から逃れようと足掻いていた、のだが……
「うるさいぞ」
まるで羽虫が騒いでいるかのような物言いでランドルフは顔をしかめると、男の腹に強烈な蹴りを食らわせた。
「グハァッ!」
男は白目を剥き、グタリと動かなくなった。己を恐怖に陥れていた男がこうも呆気なく伸しているのは、やはり衝撃だ。
リーゼが唖然としているその間にも、ランドルフはどこからともなく取り出した縄で男をがんじがらめにしている。男は完全に気を失っているようで、呻き声すらあげていない。
ランドルフは立ち上がり、芋虫状態と化した男をぞんざいに蹴って転がすと、足早にリーゼの元へと戻ってきてくれた。
「リーゼ。本当に、無事でよかった。怖かっただろう……」
リーゼの顔を覗き込み、気遣わしげに訊ねるランドルフの声は優しい。繊細な手つきで、労るようにリーゼの頬を撫でてくれる。それだけでリーゼの涙腺は緩み、視界が滲んだ。
「助けに来てくれて……ありがとう、ございます……」
震える声でそう告げると、ランドルフはなぜか眉を曇らせた。
「当然だ……君は俺の、大切な妻だからな……」
刹那、ふわりと体が持ち上がり、横向きに抱き上げられた。リーゼが落ちないように、ランドルフはギュッと腕に力を込めてくれている。
それがどうしようもなく、嬉しくて。リーゼは彼の胸に顔を埋めて、また涙を流した。