【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「も、もう!私の言うことなんて聞くつもりないですよね」
「そんなことはない。だが今は離れている分、少しでもリーゼの気を引きたいだけだ。君が戻ったら自制するから許してくれ」

 ランドルフはリーゼの耳に唇を寄せて、そう囁いた。

「明日はこの耳を飾るイヤリングを贈らせてほしい。仕事の時にも付けられるデザインにしたから、常に付けていてくれ」
「あ、んぅ……」

 耳朶を甘く齧られ、リーゼの鼻からくぐもった甘い吐息が抜ける。

「君を狙う男共に、君が誰のものなのかきちんと知らしめなければならないからな」
「そんな人、いるわけ……」

 舌でねっとりと耳孔を舐られ、リーゼの否定の言葉は背筋に走る甘い痺れに遮られた。
 もたらされる愉悦が下腹部に溜まって、体がビクビクと波打つ。リーゼは熱を帯びた顔をランドルフの胸に埋めて、堪えきれない声を押し殺した。

「まったく罪深いな。だが君は何も知らないままでいい。ただ俺のものだということさえ覚えていれば、それで」

 甘やかな言葉が直接耳孔に注がれ、顎を持ち上げられると同時に唇を塞がれた。
 入り込んだランドルフの舌が口内を愛撫し、リーゼは陶然と目を閉じる。
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