【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
 歯列を突かれ、促されるまま口を開くと、肉厚な舌がリーゼの口内に滑り込んでくる。淫らな水音を響かせて口の中をかき混ぜられると、それだけでリーゼの体が熱くなった。

 唇は重ねたまま、ランドルフが腹筋を使って身を起こした。座位になったことで二人の間に僅かに生まれた隙間へ、ランドルフが手を差し込む。

「リーゼ……ずっと、触れたかった」

 熱っぽく囁くと、ランドルフは性急な手つきでリーゼの寝衣を剥いでいく。

「もう絶対に、君を傷つけるような真似はしない。愚かな俺をどうか許してほしい」

 悔恨を滲ませるランドルフの額に、額を合わせる。
 
「許してあげます。でもその代わり、ずっと私を、愛してください……」

 閉じた瞼の裏が熱くなる。
 愛してほしいと言葉で告げるのは、自ら愛を伝えることよりもずっと勇気のいることだった。
 内側から湧き出た涙が瞼の縁から溢れてリーゼの頬を濡らすと、それを拭うようにランドルフの唇が押し当てられた。

「愛している、リーゼ。これからも、俺の命が尽きるまで君を愛し、守り抜くと誓う。だからずっとそばにいてほしい」
「……はい」

 きつく抱き合い、誓うようにキスをした。角度を変えて啄んでいたキスはすぐに濃く深くなる。
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