【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています

契約結婚はじめました

 そして一ヶ月後。
 
「本当に結婚しちゃった……」

 リーゼは真新しいベッドに腰掛けて、淡い黄色のカーテンがかかる天蓋を呆然と見上げていた。
 大の大人が三人は優に眠れるであろう大きなベッド。座るとお尻がマットレスに包み込まれて、その柔らかさに感動を覚えた。
 こんな立派なベッドで寝たことなんてない。用意してくれたのは、もちろんランドルフだ。

 今日、二人は王都の教会で結婚式を挙げ、正式な夫婦になったのだ。
 まさに急転直下。驚くべきスピードで、事態が進行していた。

 ちょっと、いや、かなり現実味がない。……自分で決めたことなのだけれど。

 双方の家へ挨拶が終わるやいなや、あれよあれよという間に結婚式の日取りが決まり、周囲が(主に乗り気なランドルフの母が)着々と準備を進め、気がついたらリーゼは厳かな祭壇で大勢の列席者に見守られながら偽りの愛を誓っていた。

 神聖な式の後は、フォスター家所有の王都のタウンハウスにて結婚披露宴が催された。
 両家の親族や親交のある有力貴族、そして騎士団の重鎮たちが一堂に会した披露宴は、フォスター伯爵家の財力を知らしめる絢爛豪華なものだった。主役であるはずのリーゼが、そのきらびやかさに「とんでもないことになってしまった……」と恐れおののくほど。
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