【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「わかっている。君の嫌がることをするつもりはない」
「…………別にあの、すごく嫌というわけではないのですが……」

 ただ恥ずかしいだけで。
 モジモジしながら付け足すと、ランドルフはリーゼの頭に顔を埋めて、大きなため息をついた。

「あんまり可愛いことを言わないでくれ。もう一度君を愛したくなる」

 太腿に触れた彼の肉茎は再び芯を持って既に勃ち上がっていて、リーゼはひぇっ、と声にならない悲鳴を上げた。
 間髪入れずにブンブンと首を横に振る。あんなに激しい行為を続け様に二度も行うなんて無理だ。

 ランドルフもリーゼの体力のなさは織り込み済みのようで、それ以上迫ってはこなかった。
 リーゼの体を撫でているものの、その手つきにいやらしさはない。背中を撫でさすり、その手が腹部に回ってくる。先程たっぷり子種を植え付けられた下腹部の辺りを撫でられると、なんだか落ち着かない気持ちになった。

「芽吹いているといいな」

 愛おしそうにリーゼの腹に手を滑らせながら、ランドルフは呟いた。

「子供、実はお好きだったんですか?」

 最初は養子でもいいと言っていたから意外だった。リーゼがそう思って訊ねるも、ランドルフは「いや」と首を横に振った。

「だが君との子なら愛したいと思った。それに……」
「それに?」
「…………君を繋ぎ止めていられるとも」
「もう!」

 なぜか自信なさげに零すランドルフに、リーゼは胸を掻きむしりたくなるようなもどかしい気持ちに駆られた。彼の胸にギュッと抱きつき、自分の想いごと体を押し付ける。

「私はずっとランドルフ様のお側にいると、そう告げたはずです」
「……そうだったな」

 ランドルフは目元を和らげると、リーゼの体を包み込むように抱きしめた。

「リーゼ、好きだ、愛してる。誰かをこんなにも愛しいと思ったのは君が初めてだ」
「はい……」

 こめかみに落ちるキスの柔らかさを感じながら、リーゼは今ここにある最上級の幸せを噛み締めて頷いた。
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