【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
エピローグ、のようなもの
とある日の午後。リーゼはフォスター伯爵家の本邸にある一室で姿見の前に立ち、今日のためにあつらえられたドレスに袖を通す自分を眺めていた。
社交界で今、絶大な人気を誇るデザイナーが手がけた一着だ。最近の流行だという広い襟ぐりが特徴的で、シフォン生地を幾重にも重ねて作られていて、動くたびに裾が踊るように揺れている。
このドレスに使われている淡い黄色の生地は、ランドルフが熟考の末選んでくれたもの。自分に似合っているといいのだけれど。
そう思っていた最中、部屋の扉がノックされた。入室してきたのはこの屋敷の女主人、ランドルフの母であるアドリアナだ。
「とーっても綺麗よ、リーゼさん」
部屋に入るなりこちらへツカツカと歩み寄ったアドリアナがそう褒めてくれた。リーゼはホッと安堵の笑顔を浮かべる。地味な自分が彼女のお眼鏡にかなうか、若干不安であったので。
今日、リーゼが本邸に戻っているのは、伯爵家主催の夜会に出席するためだ。もちろん主催側として、ランドルフと共に。
次期フォスター伯爵夫人としての初めてお勤めに、リーゼは緊張を隠せない。
そんなリーゼの様子を知ってか知らずか、アドリアナはリーゼの隣に立って上機嫌に顔を綻ばせている。
「あなたは明るい色が似合うのねぇ。とってもお顔が華やいで素晴らしいわ。私はピンクなんかも似合うんじゃないかと思っていたんだけど、それはまた次の機会かしらね。とってもよく似合っているもの。ほら、このレースのバラ刺繍なんかもね。素晴らしいわ。派手すぎず、かといって地味すぎない。さすがミセス・ワイズリーが手がけただけあるわね。あなたの雰囲気にピッタリ!妖精さんかと思ってしまったもの!こんな可愛らしいお嬢さんがまさか愚息のお嫁さんに来てくれるなんて思ってもいなかったわ〜。待った甲斐があるというものね」
「あ、ありがとうございます」
今日もアドリアナの口はよく回る。
社交界で今、絶大な人気を誇るデザイナーが手がけた一着だ。最近の流行だという広い襟ぐりが特徴的で、シフォン生地を幾重にも重ねて作られていて、動くたびに裾が踊るように揺れている。
このドレスに使われている淡い黄色の生地は、ランドルフが熟考の末選んでくれたもの。自分に似合っているといいのだけれど。
そう思っていた最中、部屋の扉がノックされた。入室してきたのはこの屋敷の女主人、ランドルフの母であるアドリアナだ。
「とーっても綺麗よ、リーゼさん」
部屋に入るなりこちらへツカツカと歩み寄ったアドリアナがそう褒めてくれた。リーゼはホッと安堵の笑顔を浮かべる。地味な自分が彼女のお眼鏡にかなうか、若干不安であったので。
今日、リーゼが本邸に戻っているのは、伯爵家主催の夜会に出席するためだ。もちろん主催側として、ランドルフと共に。
次期フォスター伯爵夫人としての初めてお勤めに、リーゼは緊張を隠せない。
そんなリーゼの様子を知ってか知らずか、アドリアナはリーゼの隣に立って上機嫌に顔を綻ばせている。
「あなたは明るい色が似合うのねぇ。とってもお顔が華やいで素晴らしいわ。私はピンクなんかも似合うんじゃないかと思っていたんだけど、それはまた次の機会かしらね。とってもよく似合っているもの。ほら、このレースのバラ刺繍なんかもね。素晴らしいわ。派手すぎず、かといって地味すぎない。さすがミセス・ワイズリーが手がけただけあるわね。あなたの雰囲気にピッタリ!妖精さんかと思ってしまったもの!こんな可愛らしいお嬢さんがまさか愚息のお嫁さんに来てくれるなんて思ってもいなかったわ〜。待った甲斐があるというものね」
「あ、ありがとうございます」
今日もアドリアナの口はよく回る。