【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「本当によく似合っているわ。こんなことなら婚礼衣装もミセス・ワイズリーに作ってもらえばよかったわねぇ。いくら時間がなかったとはいえ、お願いすれば受けてもらえたと思うのに。衣装は自分たちで決めるっていうから任せたけど、あなたもあの時はまだ遠慮してたんじゃなくて?あのドレスもシンプルであなた自身の良さが際立っていたけれど、少しシンプルすぎる気がしていたのよ。今日のドレスのように、もうちょっと華やかでも良かったんじゃないかしらって思ってしまってね。ランドルフはどうにもその辺りを頓着しないから。もしかしてランドルフったら、あなたの外出着も仕立てていないんじゃない?きっとそうよね。あらもう、大変だわ。今度うちに仕立て屋を呼ぶからリーゼさんもいらっしゃって?私がいーっぱいあなたに似合うお洋服を選んであげるから」
「い、いえ。ドレスはもうたくさんランドルフ様からいただきましたから」
「まあ、リーゼさんったら、ランドルフに気を遣ってるのね。いいのよ、あの子が気が利かないのは私が一番よくわかってるから。そうと決まれば早い方がいいわね。明日にでも仕立て屋に連絡を取って……」
「……母上。なぜ俺より先にリーゼの部屋にいるんだ」
ノンストップで繰り広げられていたアナスタシアの話を遮ったのは、心地よいバリトン。
ハッと振り向くと、部屋の入り口にランドルフが立っていた。彼の眉間には相変わらず深い皺が刻まれている。
「い、いえ。ドレスはもうたくさんランドルフ様からいただきましたから」
「まあ、リーゼさんったら、ランドルフに気を遣ってるのね。いいのよ、あの子が気が利かないのは私が一番よくわかってるから。そうと決まれば早い方がいいわね。明日にでも仕立て屋に連絡を取って……」
「……母上。なぜ俺より先にリーゼの部屋にいるんだ」
ノンストップで繰り広げられていたアナスタシアの話を遮ったのは、心地よいバリトン。
ハッと振り向くと、部屋の入り口にランドルフが立っていた。彼の眉間には相変わらず深い皺が刻まれている。