【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「だが、これに関しては母の言う通りだったかもしれない。あの時、君を今日のように飾り立てていたら、きっと俺はもっと早く君への想いに気がついただろうからな」
「ランドルフさま……」
「今日の君は目が眩むほど美しい。綺麗だ、リーゼ」

 情熱に滾る灰褐色の瞳に射貫かれ、リーゼはゴクリと息を呑む。

 そんなことを言うランドルフこそ、いつもより格段麗しいというのに。

 結婚式では騎士の最礼装である白の騎士服を纏っていたが、それは国事か自身の婚礼の時のみしか着用が許されず、今日は一般的な礼服だ。
 だが、乙女の憧れである白騎士服を纏っていなくても、今日の彼は見惚れるほど美しい。
 前髪を後ろに撫で付けているおかげで、彼の端正な顔立ちがこれでもかというほどよく見えるのだ。
 オーダーメイドの礼服は、彼の長い手足にピタリとなじんでいて、洗練されている。
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