【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「キッチンってどこだったっけ……?」
リーゼはランプを片手に屋敷の一階を彷徨っていた。
まだ屋敷の中を詳しく案内してもらっていなかったのを忘れていた。家政婦を呼べばよかったのだろうが、こんな些細なことで彼女の手を借りるのは躊躇われた。
なにせこの屋敷は元々ランドルフが一人で住んでいたこともあって、女性使用人は家政婦の女性が一人とメイドが数人しかいないのだ。リーゼが越してくる際に侍女を新しく雇おうかという話も出たのだが、それは断った。日中は仕事でいないし、実家は使用人がほぼおらず、宿舎で暮らしていた時も自分のことは大抵自分で行なっていたので。
(使用人棟はないし、一階にあるかと思ったんだけど……もしかして地下?)
キョロキョロと辺りを見回していると、食堂に明かりが灯っているのが見えた。誰か起きているのかもしれない。
リーゼがそっと食堂の扉を開けると、ワインボトルとグラスを片手に食堂を出ようとするランドルフとちょうど鉢合わせた。
「だ、団長?!」
「スターリング。こんな時間に何をしているんだ?」
わずかに目を瞠るランドルフに、リーゼは思わず背筋を伸ばした。
「あ、えっと……眠れないので、ホットミルクでも飲もうかと思って……あの、団長は?」
「俺も同じだな。寝酒でも飲もうかと思っていた。――よければ一緒にどうだ?」
意外なお誘いに胸が高鳴る。もちろん断るはずがない。
リーゼが頷くと、ランドルフはすぐさま食堂に明かりを入れてくれた。食堂奥のパントリーから持ち出した干し肉も並べて、向かい合う形で座った二人は杯を掲げる。
リーゼはランプを片手に屋敷の一階を彷徨っていた。
まだ屋敷の中を詳しく案内してもらっていなかったのを忘れていた。家政婦を呼べばよかったのだろうが、こんな些細なことで彼女の手を借りるのは躊躇われた。
なにせこの屋敷は元々ランドルフが一人で住んでいたこともあって、女性使用人は家政婦の女性が一人とメイドが数人しかいないのだ。リーゼが越してくる際に侍女を新しく雇おうかという話も出たのだが、それは断った。日中は仕事でいないし、実家は使用人がほぼおらず、宿舎で暮らしていた時も自分のことは大抵自分で行なっていたので。
(使用人棟はないし、一階にあるかと思ったんだけど……もしかして地下?)
キョロキョロと辺りを見回していると、食堂に明かりが灯っているのが見えた。誰か起きているのかもしれない。
リーゼがそっと食堂の扉を開けると、ワインボトルとグラスを片手に食堂を出ようとするランドルフとちょうど鉢合わせた。
「だ、団長?!」
「スターリング。こんな時間に何をしているんだ?」
わずかに目を瞠るランドルフに、リーゼは思わず背筋を伸ばした。
「あ、えっと……眠れないので、ホットミルクでも飲もうかと思って……あの、団長は?」
「俺も同じだな。寝酒でも飲もうかと思っていた。――よければ一緒にどうだ?」
意外なお誘いに胸が高鳴る。もちろん断るはずがない。
リーゼが頷くと、ランドルフはすぐさま食堂に明かりを入れてくれた。食堂奥のパントリーから持ち出した干し肉も並べて、向かい合う形で座った二人は杯を掲げる。