【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「まったくお嬢さん方は懲りないねぇ。だから猫か鶏の死骸でも送りつけて脅してあげるって言ったのに」
「いや、それはちょっと……」
針が中に仕込まれていた手袋や、腐った焼菓子、はたまた呪詛の手紙まで送りつけられていたリーゼを見かねて、ベルが以前そう言ってくれたのだが、丁重にお断りしていた。
同じ穴の狢にはなりたくないので。というか報復の刺激が強すぎる。リーゼの笑顔がピキッと引き攣る。
「けど、このまま律儀にお礼返しをしているだけじゃあ、いつまで経っても続くよ?」
「それはそうなんですけど……」
だが、こちらも礼を欠けば悪評を立てられるのはリーゼの方だ。
社交界で周囲に根回しできるほどの権力など持っていない。リーゼに悪評が立てば、夫であるランドルフの沽券にも関わってくる。こんな些細なことでランドルフの迷惑になるのは御免だった。
だから全く嬉しくなくとも、いただいた贈り物にはお礼状を添えて返礼の品を贈っていたのだが。
ベルは理解不能といった風に眉を顰めている。ロバートも頷いているので同じくなのだろう。
お菓子はそれなりに高価だし、こうも立て続けに買っていると懐具合が随分と寂しくなるので、リーゼとしても好きでやっているわけではない。
「いや、それはちょっと……」
針が中に仕込まれていた手袋や、腐った焼菓子、はたまた呪詛の手紙まで送りつけられていたリーゼを見かねて、ベルが以前そう言ってくれたのだが、丁重にお断りしていた。
同じ穴の狢にはなりたくないので。というか報復の刺激が強すぎる。リーゼの笑顔がピキッと引き攣る。
「けど、このまま律儀にお礼返しをしているだけじゃあ、いつまで経っても続くよ?」
「それはそうなんですけど……」
だが、こちらも礼を欠けば悪評を立てられるのはリーゼの方だ。
社交界で周囲に根回しできるほどの権力など持っていない。リーゼに悪評が立てば、夫であるランドルフの沽券にも関わってくる。こんな些細なことでランドルフの迷惑になるのは御免だった。
だから全く嬉しくなくとも、いただいた贈り物にはお礼状を添えて返礼の品を贈っていたのだが。
ベルは理解不能といった風に眉を顰めている。ロバートも頷いているので同じくなのだろう。
お菓子はそれなりに高価だし、こうも立て続けに買っていると懐具合が随分と寂しくなるので、リーゼとしても好きでやっているわけではない。