【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
「団長がリーゼさんを守らないなら、僕がリーゼさんを守ります。僕、リーゼさんが傷つくところは見たくないんです」
「えっ……いや、別に傷ついているわけじゃ……」
懐は痛んでいるが、心が痛んでいるわけじゃない。
そう主張してみるも、ロバートは「いや」と首を振って聞かない。
「こんな馬鹿げた嫌がらせは、僕が終わらせてみせます。だからリーゼさん、安心してください」
「だからそんなことしなくていいんだってば」
背後でベルが呑気に口笛を鳴らしているがそれどころじゃない。
変な使命感に燃えて暴走し始めたロバートに焦燥感を覚えたリーゼだったが、ふとその視界が陰ったことに気がつく。
「何の話だ?」
耳触りの良い低い声にハッとして顔を上げると、傍らにランドルフが立っていた。表情はいつも通り固いけれど、心なしかいつもより眉間の皺が深い。
(なんか怒ってる……?)
なんで?と首を捻っている間に、ランドルフはロバートに視線を向けた。
「デイビス、その花は君がリーゼに贈ったのか?」
周囲が凍りついてしまいそうなほどの低い声でランドルフが唸るように訊ねた。鋭い視線の先にはお供え用の花束が。
ロバート――デイビスは家名だ――は魔物に遭遇でもしたかのように顔を真っ青にして、ブンブンともげそうなくらい激しく首を横に振っている。
彼に累が及ばないよう、リーゼもランドルフの言葉を否定した。
「えっ……いや、別に傷ついているわけじゃ……」
懐は痛んでいるが、心が痛んでいるわけじゃない。
そう主張してみるも、ロバートは「いや」と首を振って聞かない。
「こんな馬鹿げた嫌がらせは、僕が終わらせてみせます。だからリーゼさん、安心してください」
「だからそんなことしなくていいんだってば」
背後でベルが呑気に口笛を鳴らしているがそれどころじゃない。
変な使命感に燃えて暴走し始めたロバートに焦燥感を覚えたリーゼだったが、ふとその視界が陰ったことに気がつく。
「何の話だ?」
耳触りの良い低い声にハッとして顔を上げると、傍らにランドルフが立っていた。表情はいつも通り固いけれど、心なしかいつもより眉間の皺が深い。
(なんか怒ってる……?)
なんで?と首を捻っている間に、ランドルフはロバートに視線を向けた。
「デイビス、その花は君がリーゼに贈ったのか?」
周囲が凍りついてしまいそうなほどの低い声でランドルフが唸るように訊ねた。鋭い視線の先にはお供え用の花束が。
ロバート――デイビスは家名だ――は魔物に遭遇でもしたかのように顔を真っ青にして、ブンブンともげそうなくらい激しく首を横に振っている。
彼に累が及ばないよう、リーゼもランドルフの言葉を否定した。