【更新】雇われ妻ですが冷徹騎士団長から無自覚に溺愛されています
 リーゼを見下ろす彼の双眸には情欲が滾っていた。こんな眼差しを向けられたのは初めてだ。
 その目に魅せられて抜け出せなくなってしまいそうで、リーゼはそっと目を伏せた。すると今度は彼の逞しい大胸筋に視線が吸い寄せられてしまい、逃げ場がなくなる。

 今更ながら彼に全てを捧げる実感が湧いてきて、羞恥から唇が戦慄いた。
 太腿に彼の劣情の証が触れたのを感じ取って、上気した顔面がさらに熱をもつ。
 
「痛むと思うが、耐えてくれ……」

 耳元で囁かれた艶声すらも下腹部に響く。堪らず頷くと、グッと腰を押し進められた。
 体の中心が灼けつくように痛み、リーゼはギュッと目を瞑った。

「くぅ、うぅ……」
「……ハァ……ック……リーゼ、体の力を抜け。息をするんだ」
「あ、う……でも……」

 割り開かれる痛みを堪えようとすると、無意識に体がこわばってしまう。ランドルフも苦しそうで、しきりに熱いため息をこぼしている。

「はぁ……う……ご、ごめんなさ……」

 ひりつく痛みと、上手く力を抜けない自分の不出来さに苛まれ、リーゼの目尻に涙が溜まっていく。感情が昂っているせいか涙は止まらず、溢れた涙がリーゼの顔の横を伝った。

 すると苦しげに眉根を寄せていたランドルフがハッと目を見開き、動きを止めてリーゼに覆い被さった。

「痛むか?」

 リーゼの眦からこぼれる雫を唇で吸い上げながら、ランドルフはリーゼの顔の横に肘をつき、伸ばした腕でリーゼの髪をそっと撫でた

「今日はこれでやめにしよう。泣くほど痛いものを我慢する必要はない」
「あ……ぃや、まって……!」

 彼が去る気配がして、リーゼはギュッとランドルフの首に腕を回してしがみつき、それを阻止した。
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