言の葉は
叔母さんは暦に対して「暦、あんた遅刻しないでよ。せっかく仕事を見つけられたんだから」と既すでに先に食事をとっている暦を嗜めるように言い、僕が座る席に目玉焼きとみそ汁と茶碗ちゃわんに盛もられたご飯を置いた。



暦は「はーい。わかっていますよ。なんたって私は新任しんにんの教師なんだから遅れるわけないじゃん!」と胸を張る。



僕は暦の教師らしくない性格を眺めながら目玉焼きの隣にあるウィンナーに箸はしをつける。すると叔母さんは暦に対して、「遥斗くんを見習って欲しいわ。私がもし、暦の生徒なら遥斗くんみたいな真面目で可愛い先生がいいって言うわね」

そんな叔母さんの発言に暦は言い返す。



「遥斗くんは確かに真面目だし、可愛い。けど、年が足りないもんねー。遥斗くん?」



僕は頷く。いや、頷くしかないのだ。



この親子の会話は毎回、朝から小さなコントを始める。しかし、今まで暦は赴任する学校が見つからず、オンラインゲームをしていた日々。

改めて教師になる暦と叔母さんは変わらず小さなコントを朝から毎日恒例こうれいの行事ぎょうじのように繰り返す。



つまり、何が言いたいかと言うとリアクションに困るのだ。

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