白き妃は隣国の竜帝に奪われ王子とともに溺愛される
プロローグ
「娘。アデリナといったか?」
私を抱きあげ、黒い大きな羽で飛ぶ彼は私の名を呼んだ。
「はっはい」
「私と共にくるか」
私は、人生最大級の選択肢を迫られた。
そう、言葉で手を差し伸べてくる彼は、太陽の光を浴びて黒い濡羽色に美しく艶めく黒髪に、小さな光を散りばめたような金の瞳。その瞳は切れ長で少し切れ上がっている。鼻梁はまっすぐで、口は薄く微笑んでいる。一言で言って、美しかった。初めて見る、人以外の、異質の美しさだった。
そんな私を支える男の腕や触れる体は、初めて感じる異性のもので、私が知らない硬さと熱さの両方を持ち得ていた。
虐げられ続けた月日──この手を取らないという選択肢はあるのだろうか。
「行きます」
私は答えた。このまま、この申し出を離してしまえば、虐げられる人生が一生続くだけ。
──ならば。
「ほう? 敵国である、我がドラゴニア帝国に、女の身ひとつでくると?」
黒い大きな羽をはためかせて高度を上げながら、彼が愉快そうに笑った。
私はそうして王国の妃ながら、隣国を統べる彼に奪われたのだった。
私を抱きあげ、黒い大きな羽で飛ぶ彼は私の名を呼んだ。
「はっはい」
「私と共にくるか」
私は、人生最大級の選択肢を迫られた。
そう、言葉で手を差し伸べてくる彼は、太陽の光を浴びて黒い濡羽色に美しく艶めく黒髪に、小さな光を散りばめたような金の瞳。その瞳は切れ長で少し切れ上がっている。鼻梁はまっすぐで、口は薄く微笑んでいる。一言で言って、美しかった。初めて見る、人以外の、異質の美しさだった。
そんな私を支える男の腕や触れる体は、初めて感じる異性のもので、私が知らない硬さと熱さの両方を持ち得ていた。
虐げられ続けた月日──この手を取らないという選択肢はあるのだろうか。
「行きます」
私は答えた。このまま、この申し出を離してしまえば、虐げられる人生が一生続くだけ。
──ならば。
「ほう? 敵国である、我がドラゴニア帝国に、女の身ひとつでくると?」
黒い大きな羽をはためかせて高度を上げながら、彼が愉快そうに笑った。
私はそうして王国の妃ながら、隣国を統べる彼に奪われたのだった。
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