愛し愛され、狂い焦がれる。
「…今日、8年ぶりの再会だとは…思えません」
「…そうだな。本当に、昨日も会ったかのような…そんな感覚がする…」
8年前の私は、中井先生とこうなる未来があることを1ミリも想像していなかった。
高校時代、先生と付き合うなんて夢のまた夢で。
中井先生に対して少しだけ抱いていた気持ちは、胸の奥に封印したまま…ただ雑談を楽しむ相手として接していた。苦しかったけれど、そんな日々が楽しくて、楽しくて…。
そして、封印した思いは、卒業と同時に消し去ったはずだったのに。
その思いは…今日再び表に顔を出す。
「…ずっと、好きだったんだ…安永。どこか不安定で、本当の笑顔なんてどこにも無くて、周りに同調してばかりで嘘つきで…愛想笑いが上手で。でも、僕の前では少しだけ素直になってくれていた、安永…」
「そんなお前と再会できるとは、本気で…思っていなかった」
熱く、真っ直ぐな瞳。
先生の首元でキッチリと締められている藍色のネクタイは、激しく上下に揺れている。
「先生…そんなに私を思ってくれていたなんて、知りませんでした…」
「…いや。僕自身も…今も自分の中に、こんなにも強い思いがあったことは知らなかった」
もう一度唇を重ね、今度はお互いの舌を絡め合う。
音を立て絡み合う舌。唾液が溢れ、次第に顎を伝う…。
「はぁ…安永…」
「…先生」
「愛しい…恋しい…本当はあの頃から、ずっとこうしたかったんだ。安永…」
「……」
強く…強く抱き締めてくれる先生の腕。
こんなにも私を思ってくれている人がいたなんて。
初めて感じる強い愛に、言葉では表現できない感情が胸に溢れて…苦しさと幸せを感じた。