愛し愛され、狂い焦がれる。
車に着いた私たちは後部座席に乗り込み、どちらからともなく唇を重ね合った。
何度も、何度も。角度を変えて、何度も。
「キスって、こんなにも気持ちいいなんて…知らなかったです」
「僕も…初めての経験だ」
それから、貪るようにお互いの体を求め合った。
…仁の時とは違う。
先生から貰える愛が大きくて、優しくて、でも、激しさもあって。
熱くて、切なくて、恋しくて、愛おしい。
狂おしくて…思い焦がれる。
「…どうしようもなく愛おしいよ…梨緒」
「……名前、覚えていたのですね」
「当たり前だろ…。何年、お前を想っていたと思っているんだ…」
こんなにも愛されて良いのか。
少し不安になるくらい、幸せを感じる。
経験したことのない愛の確かめ合いに、全身が溶けそう。
「梨緒」
「中井先生…」
「……好きだ。気が狂いそうなくらい…お前を愛してる…」
「私も、好きです…」
先生と体を重ね、初めて1つになったこの日。
自分でも考えられないくらい、幸福感で満たされていた。