佐々木くんは見えるらしい
◆ ◆ ◆
サマーキャンプの日がやってきた。
早朝、佐々木くんは新学期からずっとこのクラスにいました、みたいな顔で集合場所に現れ、担任の先生からなにか説明を受けて、私の班に合流した。
どうやって参加できるようにしたのか気になったけど、きっと、佐々木くんはきいても「どうにかした」とか「なんとかした」としか言わない。
だから、考えるのはやめた。
大きな観光用のバスに乗り込んで、いざ出発!
「なんか、佐々木くんって優希ちゃんのそばにしか行かないね。優希ちゃんのこと好きなの?」
途中の休憩所で紗菜ちゃんが私のほうにちょこちょこっと寄ってきて、聞いてきた。
たしかに、佐々木くんは気付いたら私の近くに居る。
でもね、違うんだよ、紗菜ちゃん。
「ううん、たぶん、人見知りってやつだと思う」
なに話したらいいかわからなくて、はじめての人にオドオドしちゃうやつ。
佐々木くんは基本アキさんと私以外に接してないから、どう他の人と接していいのかわからなくなってるんだと思う。
「あー、人見知りね。それ知ってる。私も人見知りするもん」
ふふん、って自慢気に言ってるけど、たぶん、紗菜ちゃんのそれは違うと思う。
だって、紗菜ちゃんは誰とだって話せるし、すぐ仲良くなるもん。
誰かと無言で対面するときは、ただその人が嫌いなだけ。
なんて思っても、真っ正面からは言えなくて、私は「へへ」と笑っておいた。
結局、紗菜ちゃんには佐々木くんのことは話してない。
幽霊が見えることも噂のままで止まってる。
サマーキャンプの日がやってきた。
早朝、佐々木くんは新学期からずっとこのクラスにいました、みたいな顔で集合場所に現れ、担任の先生からなにか説明を受けて、私の班に合流した。
どうやって参加できるようにしたのか気になったけど、きっと、佐々木くんはきいても「どうにかした」とか「なんとかした」としか言わない。
だから、考えるのはやめた。
大きな観光用のバスに乗り込んで、いざ出発!
「なんか、佐々木くんって優希ちゃんのそばにしか行かないね。優希ちゃんのこと好きなの?」
途中の休憩所で紗菜ちゃんが私のほうにちょこちょこっと寄ってきて、聞いてきた。
たしかに、佐々木くんは気付いたら私の近くに居る。
でもね、違うんだよ、紗菜ちゃん。
「ううん、たぶん、人見知りってやつだと思う」
なに話したらいいかわからなくて、はじめての人にオドオドしちゃうやつ。
佐々木くんは基本アキさんと私以外に接してないから、どう他の人と接していいのかわからなくなってるんだと思う。
「あー、人見知りね。それ知ってる。私も人見知りするもん」
ふふん、って自慢気に言ってるけど、たぶん、紗菜ちゃんのそれは違うと思う。
だって、紗菜ちゃんは誰とだって話せるし、すぐ仲良くなるもん。
誰かと無言で対面するときは、ただその人が嫌いなだけ。
なんて思っても、真っ正面からは言えなくて、私は「へへ」と笑っておいた。
結局、紗菜ちゃんには佐々木くんのことは話してない。
幽霊が見えることも噂のままで止まってる。