桜吹雪が綺麗です。
 じゃり、と足下の小石を踏みしめて、彼は一歩前に進んだ。

「『何言ってんの』はあんただよ。あんたにとっては遊びでも、相手にとっては一生の傷かもしれないだろ。見苦しい言い訳やめて帰れよ」

「お前こそ、無関係な他人の会話に首突っ込んでんなよ。どっか行けよ!」

 煽られた三木沢が声を荒げた。
 それを見た瞬間、千花は彼の名を呼んでいた。

「柿崎くんっ……は、私の知り合いだから……他人じゃない」

 他人だけど。

「知り合い……?」

 三木沢には(いぶか)しむように言われ、柿崎にも肩越しに振り返って、見下ろされてしまう。
 まるで予期していなかったかのように、目を瞠っていて、驚いているようにも見えた。

(柿崎くん、いまだけ私に話を合わせてほしいな)

 無理かなと目で懇願しつつ、声の震えをおさえながら言う。

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