桜吹雪が綺麗です。
(たぶん、それ、ちゃんとドキッとしていたよ。気付かないふりはしていたけど)
やっぱりそうだったのか、と八年ぶりの答え合わせに思わず笑いそうになりつつ、千花は冗談めかして告げた。
「その挙句、柿崎くんは私に、呪いまでかけてくれたもんね」
柿崎は、呻きながら胸をおさえて、かすれ声で答えた。
「かけました。悔しかったので。呪いなんか使えないってのは、自分でよくわかっていたので、ほんとにただの捨て台詞です。ほんとガキ。すいません」
しっかりと謝られて、千花は咄嗟に一言も返せず、固まってしまった。
「どうしました?」
心配そうに顔をのぞきこまれる。
「いえ、なんでも」
千花は、居心地悪い思いをしながらなんとか返事をした。
(それはそうだ。呪いなんか使えるはずがない。「君の呪いのせいで、私はいまだに彼氏がいない」なんて、冗談でも言ってなくて良かった)
自分の問題で、彼は関係ない。
はじめから、そんな呪いは、存在していなかったのだ。
やや冷たい風が吹き、はらはらと花びらが降って来る。
柿崎の髪にひらりと舞ってはりついて、とってあげるべきか悩んで、結局手を伸ばすのはやめた。
気安く触れて良いはずがない。
彼は親切で優しくしてくれるが、千花の恋人ではないのだ。
「そろそろ帰ろうと思います」
声が震えないように気をつけてそう言うと、柿崎は淡く微笑んで頷いた。
「はい。さっき言った通り、安全な場所まできちんと送り届けますから。行きましょう」
やっぱりそうだったのか、と八年ぶりの答え合わせに思わず笑いそうになりつつ、千花は冗談めかして告げた。
「その挙句、柿崎くんは私に、呪いまでかけてくれたもんね」
柿崎は、呻きながら胸をおさえて、かすれ声で答えた。
「かけました。悔しかったので。呪いなんか使えないってのは、自分でよくわかっていたので、ほんとにただの捨て台詞です。ほんとガキ。すいません」
しっかりと謝られて、千花は咄嗟に一言も返せず、固まってしまった。
「どうしました?」
心配そうに顔をのぞきこまれる。
「いえ、なんでも」
千花は、居心地悪い思いをしながらなんとか返事をした。
(それはそうだ。呪いなんか使えるはずがない。「君の呪いのせいで、私はいまだに彼氏がいない」なんて、冗談でも言ってなくて良かった)
自分の問題で、彼は関係ない。
はじめから、そんな呪いは、存在していなかったのだ。
やや冷たい風が吹き、はらはらと花びらが降って来る。
柿崎の髪にひらりと舞ってはりついて、とってあげるべきか悩んで、結局手を伸ばすのはやめた。
気安く触れて良いはずがない。
彼は親切で優しくしてくれるが、千花の恋人ではないのだ。
「そろそろ帰ろうと思います」
声が震えないように気をつけてそう言うと、柿崎は淡く微笑んで頷いた。
「はい。さっき言った通り、安全な場所まできちんと送り届けますから。行きましょう」