桜吹雪が綺麗です。
「もう帰ろっと。三木沢くんは」
「石垣さんが良ければちょっと外歩かない?」
珍しい誘いに、千花は動きを止めた。
なんだろう、相談事でもあるのかな? と深くは考えず、「いいよ」と答えて連れ立って会社を出ることになった。
* * *
三木沢は、二十五歳で同期の中では一番早く、結婚を決めた。
相手はその年の新入社員で、あっという間に妊娠して退職となり、お祝いムードと同時に社内にすこーしだけしらけた空気があったのも事実だ。
戦力になってくれよ、と期待して仕事を教え込んでいた新入社員がやめていくのは無いことではない。が、その理由が先輩社員との結婚及び妊娠とあっては、「どうにかならなかったのか」という一部の落胆も理解はできる。
(大学出て就職して、何も覚えないうちにもったいないなとは思ったけど……。女として「とりあえず三年」とそこで我慢するのが正しいかどうかは、なんとも言えないかな)
お祝い事とは言うものの、三木沢ではなく新入社員の方を悪く言うひとも後を絶たず、千花はどちらかというと擁護の立場で悪口をもみ消してきた。
「石垣さんが良ければちょっと外歩かない?」
珍しい誘いに、千花は動きを止めた。
なんだろう、相談事でもあるのかな? と深くは考えず、「いいよ」と答えて連れ立って会社を出ることになった。
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三木沢は、二十五歳で同期の中では一番早く、結婚を決めた。
相手はその年の新入社員で、あっという間に妊娠して退職となり、お祝いムードと同時に社内にすこーしだけしらけた空気があったのも事実だ。
戦力になってくれよ、と期待して仕事を教え込んでいた新入社員がやめていくのは無いことではない。が、その理由が先輩社員との結婚及び妊娠とあっては、「どうにかならなかったのか」という一部の落胆も理解はできる。
(大学出て就職して、何も覚えないうちにもったいないなとは思ったけど……。女として「とりあえず三年」とそこで我慢するのが正しいかどうかは、なんとも言えないかな)
お祝い事とは言うものの、三木沢ではなく新入社員の方を悪く言うひとも後を絶たず、千花はどちらかというと擁護の立場で悪口をもみ消してきた。