桜吹雪が綺麗です。
 みんなの言っていることは、わかる。
 わかるが、「我慢して」仕事を続けて「納得する頃に」結婚したとしても、上手くいくとは限らないと思った。
 結婚生活にしても、妊娠出産にしても。
 同期だけに、三木沢のやや男性上位な考え方は気になってはいたが。

(このひとは、「自分よりできる女」とは付き合えないだろうなって感じがあるのよね。だから「何もわかっていない年下の女」との相性は良さそうだけど、結婚を先延ばしにしている間に、相手が仕事で頭角を現したら付き合っていけるかどうか。その意味では、相手の将来を考えていないのかなって気もしたけど)

 決して、嫌な男ではないのだ。
 仕事の会話をする相手として不足はないし、信頼もある。ただし、時には成績で争うこともあり、自分には決して気を許していないのを感じている。
 そういう意味では、互いに「絶対に恋愛対象にはならない」とわかっている気楽さがあった。

 そしてまた、そこまでわかっているだけに、彼が家庭を持つことで人間に幅が出るなら応援したいと思っていたのだ。
 子どもも生まれるのなら、それで彼も変わるのではないかと。
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